くにたち市民芸術小ホールで開催された展示会に関する市の考え方について
くにたち市民芸術小ホールで開催された展示会に関する市の考え方について(令和4年4月20日)
先般、「くにたち市民芸術小ホール」(以下「芸小ホール」といいます。)のギャラリーで行われた、民間団体(表現の不自由展・東京実行委員会)が主催した催しについては、すでに3月30日付けで、ホームページ上で市の考え方についてご説明申し上げておりますが、その後、様々なご質問・ご意見を頂いたことから、改めて、今回の市の対応・考え方についてお答えいたします。
本催しの開催中には、反対する団体等により、多数の車両及び拡声器を用いた抗議活動が続けられ、芸小ホール及び市庁舎の周辺にお住いの方々をはじめ、多くの市民の皆様に不安や困惑が生じることとなりました。一定の主張、考え方に基づく行動とはいえ、市民の皆様に多大な心理的影響を与える手法については、受け入れられるものではありません。
こういった状況は一定程度予想され、市及び「くにたち文化スポーツ振興財団」(以下「財団」といいます。)は立川警察署と協議を行い対応してきたところですが、残念ながら、結果として市民の皆様に多大な不安等の心理的影響を与える事態となったことについては、大変遺憾に思うところでございます。
今回の件に関して、改めて次の2つの点についてご理解いただきたいと思います。
1点目は、何故市はこのような催しを行ったのかという誤解についてです。
すでに申し上げている通り、今回の催しの主催は民間の実行委員会であり、市は本催しについて共催や後援なども一切行っておりません。従って、本催しに市は関与しておりません。
2点目は、市が施設の利用を承認しなければ良かったのではないかという点についてですが、今回の利用承認はあくまでも法の定め及び解釈に基づき行ったものであるということです。
芸小ホールは、地方自治法(第244条第1項)に定める「公の施設」に該当し、公の施設の利用を拒み得るのは特別な事情がある場合に限られ、反対するグループ等がこれを実力で阻止し、妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に利用を拒むことは、憲法21条の趣旨に反するところとされています。
これは、昨年、令和3(2021)年に「大阪府立労働センター(エル・おおさか)」の利用承認取消しに関して、大阪高裁による利用を認める決定、最高裁による特別抗告棄却の判断がなされたことからも、法的に明確にされております。
今回、芸小ホールの指定管理者である財団が利用承認をしたことは、これらの法の定め及び解釈に基づくものと理解しております。
今回の催しは、その内容について、市民の皆様の中に様々な価値判断があろうことは、容易に想像されるところです。想定される展示内容に反対する立場から、「そのような催しはさせるな」、「不承認にするべきだ」という声、「表現の機会は平等に与えられるべきであるが、市民に不安や困惑が生じる事態が想定されるのであれば承認すべきではない」という声、また、表現の自由を守る立場から、「市は積極的に受け入れるべきだ」という声、様々なご意見があるものと考えます。
これらのご意見があり得ることを考慮した上で、財団は、表現行為の内容に立ち入った判断を行うことは適切でないことから、公の施設の利用に係る法(地方自治法)の定めに従って、利用を承認しました。公の施設の設置者である市としても、法律による行政の原理を遵守することが責務であると考えております。
以上の点について、市民の皆様にもご理解を賜りたく、改めてお願い申し上げます。
令和4年4月20日
国立市
【参考】
■指定管理者
普通地方公共団体が、条例の定めるところにより、公の施設の管理を行わせるために指定した法人その他の団体
■地方自治法
(公の施設)
第二百四十四条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。
2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。
■日本国憲法
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
くにたち市民芸術小ホールで開催される展示会に関する市の考え方について(令和4年3月30日)
国立市民の皆様
このたび、4月2日から開催される展示会(主催:表現の不自由展・東京実行委員会)について、市民の皆様から様々なご意見が市役所に寄せられておりますので、市としての考え方を、市民の皆様にお知らせいたします。
公の施設であるくにたち市民芸術小ホールの利用につきましては、指定管理者である「くにたち文化・スポーツ振興財団」が、条例・規則等のルールに基づいて承認決定したものです。施設利用については、内容によりその適否を判断したり、不当な差別的取り扱いがあってはなりません。これは、アームズ・レングス・ルール(誰に対しても同じ腕の長さの距離を置く)と、同じ考え方です。
市としましては、多様な考え方を持ったそれぞれの市民・団体が、法令に従い実施する様々なイベント・活動の場として、公の施設の利用は原則として保障されるべきものと考えています。
なお、他の地域で実施された同展示会の実績から、会期中混乱を生じる事が予想されますので、市民の皆様に安心していただけるよう、関係機関と連携し必要な対応をとってまいります。
ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
令和4年3月30日
国立市
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