国立市子ども基本条例が制定されました
国立市子ども基本条例が制定されました
令和6年国立市議会第4回定例会において、国立市子ども基本条例が全会一致で可決され、成立しました。本条例は令和7年4月1日から施行されます。
本条例の制定にあたり、パブリックコメントを始め意見をお寄せいただいた多くの市民・関係者の皆様、なにより自分の言葉で気持ちや考えを伝えてくれた一人ひとりの子どもたちのおかげで、今回子どもの権利を保障する「条例」という大きな柱ができました。
本条例が制定されて終わりではなく、より実効性のあるものとしていくため、これから条例に基づいた周知等様々な取り組みや、計画づくりを進めてまいります。
国立市子ども基本条例
すべての子どもたちへ
あなたが生まれたこと、大きくなっていくこと、あなたらしくいられることを、このまちと、このまちにいる大人は、うれしく思っています。
あなたが感じていること、思っていること、考えていることを、あなたの近くにいる大人にいつでも聴かせてください。
うれしいこと、かなしいこと、困っていること、遊びたいこと、学びたいこと、やってみたいこと。もっと自分たちの声を聴いてほしい、自分たちに目を向けてほしいと思っていること。
このまちと、このまちにいる大人は、いつでもあなたのそばで、一緒に考えて、せいいっぱい応援します。
あなたがあなたらしく、今を幸せに生きること、幸せな未来に向かっていくこと、すべての子どもが一人の人として等しく持つ、大切な権利を、このまちと、このまちにいる大人は、あなたと一緒に大切にして、守っていくことを約束します。
全ての子どもは、この世に唯一無二の命を授かった一人の人間であり、しょうがいなど様々な特性を有しているあらゆる人間は、生まれながらに等しく、自分らしく幸せに生きるための権利を持っています。
この権利は、子どもが成長・発達の過程にあることから、自分の力で行使できないときがあり、そのときに大人の支えが必要となります。
子どもたちは、生まれてきた瞬間から、自分の思いを様々な形で精一杯大人に表明しています。この思いを、大人たちが真剣に受け止め、これを尊重し、その上でその子にとって最善の利益とは何かを考え、これに応えることによって、子どもの権利が保障されます。
「人間を大切にする」という理念を掲げる国立市は、子どもたちの思いを深く受け止め、また、様々な社会課題が想定される未来を生きる子どもたちのことを思い、改めて、子どもの権利について真剣に考え、子どもの権利が恒久的に保障されるまちの実現を目指し、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、国立市に関わる全ての子どもの権利を保障し、社会全体で子どもを支え合う仕組みを定めることにより、子どもが自分らしく幸せに生き、育つことができるまちを実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 子ども 市内に在住し、在学し、又は在勤する18歳未満の者その他これらの者と等しく子どもの権利を保障することが適当と認められる者をいう。
(2) 保護者 子どもの親権者、児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する里親その他親権者に代わり子どもを監護・養育する者をいう。
(3) 育ち学ぶ施設 市内に所在する、児童福祉法に規定する児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校、社会教育法(昭和24年法律第207号)に規定する社会教育施設その他子どもが育ち又は学びを目的として通学し、通所し、入所し、又は利用する施設をいう。
(4) 事業者 市内で事業活動を行う個人及び法人その他団体(前号に掲げる施設に係るものを除く。)をいう。
(5) 市民 市内に在住し、在学し、又は在勤する者をいう。
(基本理念)
第3条 子どもの権利の保障は、次に掲げることを基本理念として進めるものとする。
(1) 子どもを権利の主体として尊重すること。
(2) 子どもがいかなる差別も受けることがないようにすること。
(3) 子どもにとって最もよい事とは何かを第一に考えること。
(4) 子どもがその命を守られ、愛され及び保護され、並びに心身ともに健やかに育つことを保障すること。
(5) 子どもが自由に意見を表すことを保障するとともに、その意見を子どもの成長及び発達の段階、個性等を踏まえて尊重すること。
(市等の役割)
第4条 市は、子どもの権利が保障されるまちの実現を図るため、育ち学ぶ施設、事業者その他の関係機関(以下単に「関係機関」という。)と連携し、必要な取組を推進するものとする。
2 保護者は、自身が子どもの成長及び発達において大切な存在であることを受け止め、子どもが心身共に健やかに育つよう監護・養育に努めるものとする。
3 育ち学ぶ施設の関係者及び事業者は、その活動において、子どもの権利を保障するものとする。
4 市民は、子どもの権利についての理解を深め、これを保障するとともに、市や関係機関の行う子どもの権利の保障に係る取組に協力するよう努めるものとする。
第2章 子どもの権利
(子どもの権利)
第5条 子どもは、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、この章に定める権利を始めとする子どもの権利が保障される。
2 子どもは、その権利が保障されるに当たっては、一人の人間として生き、育つために尊重されるとともに、成長及び発達の段階、個性等を踏まえて配慮がされる。
(安心して生きる権利)
第6条 子どもは、安心して生きる権利として、次に掲げることが保障される。
(1) 自らの命を大切に思い、そのかけがえのない命が守られること。
(2) 愛情をもって大切に育てられること。
(3) 健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のため適切な医療を受けること。
(4) あらゆる差別を受けることがないこと。
(5) 虐待、体罰、いじめその他の心身に対するあらゆる暴力及び不当な取扱い(以下「不当な取扱い等」という。)から守られること。
(6) いつでも安心して相談し及び助けを求めることができること。
(7) 安定した生活を送り並びに成長し及び発達する上で必要となる社会保険その他の社会保障からの給付を受けること。
(8) プライバシーや誇りが守られること。
(自分らしく心豊かに育つ権利)
第7条 子どもは、自分らしく心豊かに育つ権利として、次に掲げることが保障される。
(1) 自由に気持ちや考えを持つこと。
(2) 自由に気持ちや考えを表現すること。
(3) 自分らしさが認められ、尊重されること。
(4) 仲間を作り、様々な人々と触れ合うこと。
(5) 温かい見守りの中で、地域や社会の活動に参加すること。
(6) 成長及び発達の段階、個性等に合わせて学ぶこと。
(7) 自然、文化、芸術、スポーツ等に親しむこと。
(8) 心身に必要な休息を取り、自由に遊び、及び安心して過ごすことのできる時間と場所を持つこと。
(意見を表明する権利、意見が尊重される権利及び参加する権利)
第8条 子どもは、意見を表明する権利、意見が尊重される権利及び参加する権利として、次に掲げることが保障される。
(1) 自分の気持ちや考えを表明すること。
(2) 自分の表明した気持ちや考えが、成長及び発達の段階、個性等を踏まえて尊重されること。
(3) 自分の関わる環境における意思決定の場や政策決定の場に参加すること。
(4) 自分に関する情報その他自分の成長に役立つ多くの情報を大人又は社会に求め、集めること。
第3章 子どもの権利の保障
(家庭における権利の保障)
第9条 保護者は、子どもを心身ともに健やかに監護・養育するに当たり、子どもの成長及び発達の段階、個性等を踏まえて、子どもに寄り添い、子どもの気持ちや考えに耳を傾け、真剣に受け止め、子どもにとって最もよい事を第一に考えるものとする。
2 保護者は、前項の規定に基づき、子どもを監護・養育するに当たり、市や関係機関に対し必要な協力を求めることができる。
(育ち学ぶ施設における権利の保障)
第10条 育ち学ぶ施設の関係者は、その活動において関わる全ての子どもの育ちと学びを支えるに当たり、その子どもの気持ちや考えに耳を傾け、真剣に受け止め、子どもにとって最もよい事を第一に考えるものとする。
2 育ち学ぶ施設の関係者は、配慮が必要な子どもに対し、特にその子どもの心情に寄り添い、その子どもの主体性を尊重して、生じている課題や不安の解決を図るとともに、その子どもに適した育ちや学びの環境を提供するよう努めなければならない。
3 育ち学ぶ施設の関係者は、子どもが自分の抱える課題や不安、日常的に困っていること等(以下「課題等」という。)について気軽に相談できる環境の整備に努めなければならない。
4 育ち学ぶ施設の関係者は、子どもに対する不当な取扱い等が生じないよう予防に努めるとともに、子どもに対する不当な取扱い等が判明した場合、市その他関係機関と協力して、早期に対応しなければならない。
(地域における権利の保障)
第11条 市民及び事業者は、子どもを地域社会の一員として、その意見や活動を尊重し、対話をもって支えるものとする。
2 市民及び事業者は、地域の中で子どもが安心かつ安全に過ごすことができるよう、見守り、支えるものとする。
(不当な取扱い等の禁止)
第12条 何人も、子どもに対し不当な取扱い等を行ってはならない。
2 何人も、子どもに対する不当な取扱い等を発見したときは、速やかに市や関係機関に連絡しなければならない。
第4章 子どもにやさしいまちづくりの推進
(子どもの意見が尊重される環境の整備)
第13条 市は、子どもが自分の気持ちや考えを表明することができるよう、必要な環境を整備するものとする。
2 市は、施策を実施するに当たり、子どもの意見を聴くとともに、その意見については、子どもの成長及び発達の段階、個性等を踏まえて尊重し、子どもにとって最もよい事を第一に考えて反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 市は、市民、育ち学ぶ施設の関係者及び事業者(以下「市民等」という。)に対し、子どもが自分の気持ちや考えを表明できる環境を整備するよう働きかけるとともに、これを積極的に支援し、及び連携するよう努めるものとする。
(子どもが相談できる環境の整備)
第14条 市は、子どもが自分の抱える課題等について気軽に相談できる環境を整備しなければならない。
2 市は、市民等に対し、子どもが自分の抱える課題等について気軽に相談できる環境を整備するよう働きかけるとともに、これを積極的に支援し、及び連携するよう努めるものとする。
(子どもの権利の周知と学び)
第15条 市は、市民等に対し、この条例及び子どもの権利について周知するとともに、市民等が子どもの権利について理解を深めることができるよう支援しなければならない。
(国立市子どもの権利の日)
第16条 市は、広く市民の子どもの権利に対する理解と関心を深め、もって子どもにやさしいまちづくりを推進するため、国立市子どもの権利の日を設ける。
2 国立市子どもの権利の日は、11月20日とする。
(子育て家庭への支援)
第17条 市は、保護者に対し、安心して子どもを監護・養育し、もって保護者が子どもの権利を保障できるよう支援するものとする。
2 市は、市民等において、保護者に対し、安心して子どもを監護・養育するための支援を行う場合は、これに協力するよう努めるものとする。
(配慮が必要な子ども・家庭への支援)
第18条 市は、特に配慮が必要な子どもの把握に努めるとともに、その存在を確認した場合は、当該子どもとその家庭の状況を把握し、関係機関と連携・協力して適切な支援をしなければならない。
(乳幼児期から豊かな学びを受けることができる環境の整備)
第19条 市は、子どもの学ぶ意欲や学ぶ権利を保障し、子どもの可能性を最大限に伸ばすことができるよう、育ち学ぶ施設の関係者と協力して学びの環境を整備するよう努めるものとする。
2 市は、子どもが成長・発達の過程及びその後の生涯において、複雑多様化した課題を乗り越えていくことができるよう、育ち学ぶ施設の関係者及び事業者と協力し、子どもが乳幼児期から自己肯定感や主体性を育むことができる環境を整備するよう努めるものとする。
(子どもの居場所づくりの推進)
第20条 市は、市民及び関係機関と連携・協力し、全ての子どもにおいて、自分にとって大切となる多様な経験を得ること、様々な世代の人々と触れ合うこと、自然と親しむことなどができる居場所、何もしなくてよい、ほっとできる居場所その他の子どもの豊かな育ちにつながる居場所をつくるよう努めるものとする。
(不当な取扱い等に対する取組)
第21条 市は、関係機関と協力し、子どもに対する不当な取扱い等の予防と早期発見に取り組むものとする。
2 市及び関係機関は、不当な取扱い等を受けた子どもに接するに当たっては、特にその子どもの心情に寄り添い、その子どもの意思を尊重するよう努めなければならない。
3 市は、不当な取扱い等を受けた子どもを速やかに救済するため、関係機関と協力し、必要な対応を行うものとする。
4 市及び市民等は、犯罪等に巻き込まれた子どもが再び犯罪等に関わることのないよう、それぞれの子どもの背景に留意しつつ、必要な取組を行うよう努めるものとする。
(危険な環境等からの保護)
第22条 市及び市民等は、子どもが家庭や地域社会の中で健やかに育つことができるよう、子どもの成長や発達に影響を及ぼす公害、子どもの日常生活において著しく事故や事件につながるおそれがある環境、子どもの人格形成に有害であると法律等で認められている情報等(以下この条において「危険な環境等」という。)から子どもを守るとともに、子どもたちが自ら危険な環境等から身を守るために必要な情報の提供に努めるものとする。
第5章 権利侵害の相談・救済
第23条 子どもは、第14条の規定に基づき、市及び関係機関に相談することができるほか、国立市総合オンブズマン条例(平成28年12月国立市条例第38号)の規定に基づき、国立市子どもの人権オンブズマン(以下この条において「子ども人権オンブズマン」という。)に対し、自分の抱える課題等について相談し、又は救済を求めることができる。
2 市の機関は、子ども人権オンブズマンに関する周知、子どもが子ども人権オンブズマンに相談しやすい環境の整備その他の子ども人権オンブズマンの取組について相互に連携・協力するよう努めるものとする。
第6章 子どもに関する施策の推進と検証
(子どもに関する施策の推進)
第24条 市長は、子どもにやさしいまちづくりを推進するための計画を策定するものとする。
2 前項の計画は、国立市子ども総合計画をもって充てる。
(子どもの権利に関する検証)
第25条 市は、この条例に基づき、市内において子どもの権利が保障されているかどうかについて、子どもを始め市民の意見を聴いて検証するものとする。
付 則
この条例は、令和7年4月1日から施行する。
リーフレット
子どもの皆さんに権利を知ってもらい、考えるきっかけとなるようリーフレットを
作成し、市内の小・中学校や、関係施設に配布いたしました。
また、条例の内容を子どもに分かりやすく説明するため、副読本などの作成を進めていきます。
リーフレットは、以下添付よりご覧ください
この記事に関するお問い合わせ先
子ども家庭部 児童青少年課 児童・青少年係
住所:186-8501 国立市富士見台2-47-1 国立市役所 1階(18番窓口)
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更新日:2024年12月13日