有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)について
PFOS・PFOAとは何でしょうか?
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)・PFOA(ぺルフルオロオクタン酸)は、いずれもフッ素を含む有機化合物の一種であり、独特の性質(水や油をはじく、熱に強い、薬品に強い、光を吸収しない等)を持つことから、撥水剤、表面処理剤、乳化剤、消火剤、コーティング剤などに幅広く使用されてきました。一方、PFOS・PFOAは、自然界で分解されにくい(難分解性)ため、環境中に蓄積されやすく(高蓄積性)、また風や水などに乗って移動する(長距離移動性)がために、現在は国際的な条約に基づき、廃絶等の対象となっています。日本国内においても、PFOSは平成22年4月に、PFOAは令和3年10月に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」における第一種特定化学物質にそれぞれ指定されており、国内での製造・輸出入が禁止されています。よって、今後私たちの身の回りでPFOS・PFOAを使用した製品が新たに流通することは原則ありませんが、これまでに排出されたPFOS・PFOAの内、今も環境中で分解されずに残存するものも存在しています。
目標値(指針値)の設定について
現時点で、PFOS・PFOAについて毒性学的に明確な基準値・指針値を設定することは困難ではあるものの、国内では各国・各機関がこれまでに行った評価等を参考にしつつ、令和2年4月にPFOS・PFOAを水道水の「水質管理目標設定項目」に、同年5月には公共用水域及び地下水の「要監視項目」として位置づけ、暫定目標値(暫定指針値)として、50ナノグラム/リットル(PFOS・PFOAの合算値)を設定しました。これは、体重50キログラムの人が、一生涯にわたりこの濃度の水を1日あたり2リットル摂取した場合も、健康に対する有害な影響が現れないと考えられる値とされています。なお上記暫定値については、令和7年6月30日に公共用水域及び地下水における「指針値」として正式に設定されており、また令和8年4月1日以降は、水道水の新たな水質基準項目として設定される予定です。
水道水は安全でしょうか?
市内に水道水を配水している東京都水道局では、給水栓(蛇口)地点でPFOS・PFOAの水質濃度を含む水質検査を年4回実施しています。公表された結果から、現在、都内全ての給水栓(蛇口)で上記の暫定目標値を下回っていることから、都内水道水の安全性は確保されています。今後、給水栓(蛇口)において暫定目標値を超過又は超過する恐れのある場合においては、東京都水道局により井戸停止等の対応が行われます。国立市内の検査結果は下表のとおりであり、各地域における検査結果については、東京都水道局HPで公表しています。
なお国立市では、平成21年度末をもって全ての水道事業を東京都に移管しております。水道水中の測定値等については、下記にお問い合わせください。
東京都水道局 多摩水道改革推進本部 調整部技術指導課
直通 042-527-6782
東京都水道局における給水栓水(蛇口)の水質検査結果
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給水エリア |
4から6月 |
7から9月 |
10から12月 |
1から3月 |
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国立中給水所 |
<5 |
<5 |
<5 |
<5 |
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谷保給水所 |
<5 |
<5 |
<5 |
<5 |
単位はナノグラム/リットル
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給水エリア |
4から6月 |
7から9月 |
10から12月 |
1から3月 |
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国立中給水所 |
<5 |
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谷保給水所 |
<5 |
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単位はナノグラム/リットル
(注)<5:検査結果が定量下限値である5ナノグラム/リットル未満であることを表します。
食品による健康影響はありますか?
食品の安全性を科学的に評価する国の機関である「食品安全委員会」では、令和6年度に公表した食品健康影響評価書の中で、「通常の一般的な国民の食生活(飲水を含む) を通じて摂取される程度のPFOS及びPFOAでは、著しい健康影響が生じる状況にないものと考える」としています。また農林水産省では、PFOS・PFOAにばく露され得る(さらされ得る)媒体における濃度分布に関するデータ収集を進めるため、令和6年度に国産農畜水産物(主要14項目)のPFOS・PFOA含有の実態調査を実施しました。その結果、「通常の一般的な食生活において国産農畜水産物から摂取されるPFOS、PFOAは、耐容摂取量(人が生涯にわたって毎日摂取し続けたとしても、健康への影響がないと推定される1日当たりの摂取量(TDI))と比較して十分に少ないことが判明した」と評しています。また令和7年度以降は、上記14項目以外の、国内生産量が多い品目についても実態調査を拡大し、引き続き知見の集積に努めるとしています。
有機フッ素化合物(PFAS)の評価に関する情報(食品安全委員会)
主食用米(コメ)に対するPFOS・PFOAの移行・蓄積について
農林水産省では、令和6年度にかけて農業環境(農地土壌や農業用水等)からコメへのPFOS・PFOAの移行・蓄積に関する研究も実施しています。その結果、指針値以上のPFOS・PFOAが検出されている河川から取水した水田でコメを栽培した場合において、水田土壌中のPFOS・PFOAの濃度を1とした場合、玄米中の濃度はPFOSで0.005以下、PFOAで0.004以下であったことから、水田土壌中のPFOS・PFOAは玄米にほぼ移行・蓄積しないと結論付け、生産現場において、水田土壌や農業用水の浄化など、現時点で追加的な対策を実施する必要はないと考えられる、としています。
もしPFOS・PFOAが体内に入ってしまった場合、どうなりますか?
PFOS・PFOAは私たちの身体に残り続けるものではなく、消化器官から体内に吸収された後は、徐々に体外へ排泄されていきます。欧州食品安全機関によると、新たな摂取がない場合、体内に入った量が半分になるまでの時間(半減期)は、PFOSで平均5.7年、PFOAで平均3.2年であると報告されています。
健康影響に関する血中濃度の基準等はありますか?
医学、化学、工学、法学、リスクコミュニケーションなどに関する学識経験者で構成される国の「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」の見解では、「どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人に生じるかについては明らかとなっておらず、将来の個人の健康影響を予測するには、過去も含めた経年的なばく露や、どの程度の量が身体に入ると影響が出るかなどの情報が必要」としており、「検査時点の血液検査の結果のみで個人の健康影響を把握・予測すること、また、血中濃度に関する基準を定めることは現時点では困難」としています。
関係機関では、どのような対応をしていますか?
国の取組
上述した、食品摂取による健康影響や、国産農畜産物へのPFOS・PFOAの移行性等について調査・研究を進めるほか、「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」では、国内外の最新の科学的知見、国内における検出状況、科学的根拠に基づく対応について検討し、「PFOS、PFOAに関するQ&A集」及び「PFASに関する今後の対応の方向性」を取り纏め、公表しています。
東京都の取組
東京都環境局では、PFOS・PFOAについて、令和3年度から都内を260ブロックに分けた上で、都内全域における地下水質の状況を把握する概況調査を実施し、広域的な視点から都内の地下水質状況の把握を進め、調査結果を公表しています。また、東京都としての取組みについて「有機フッ素化合物に関する東京都の取組」として公表しています。
有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)に関する東京都の取組)
有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)に関する東京都の取組(資料版)(PDFファイル:3.6MB)
国立市の取組
これまで、東京都市長会として東京都に対し、PFOS・PFOAの実態調査のより詳細な実施と、汚染実態の原因究明及び対策について要望してきましたが、不安に感じる市民の声も多くいただいており、市内の状況をより適切に把握し情報発信していくため、令和7年度中に市独自のPFOS・PFOAの地下水調査を実施し、結果について公表する予定です。
PFOS・PFOAについて、どこに相談すればいいでしょうか?
東京都保健医療局では、現在明らかになっているPFOS・PFOAに関する情報をお伝えする電話相談窓口を開設しております。
●PFASに関する電話相談窓口
電話番号 03-5989-1772
受付時間 月曜日から金曜日(国民の祝日及び年末年始を除く)
午前9時00分から午後5時00分まで
ホームページ https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/sonota/pfas.html
この記事に関するお問い合わせ先
生活環境部 環境政策課 環境政策係
住所:186-8501 国立市富士見台2-47-1 国立市役所 1階(16番窓口)
市役所のご案内
電話:042-576-2111(内線:135、136)
ファクス:042-576-0264
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更新日:2025年10月10日