立川飛行場への陸上自衛隊V-22オスプレイ飛来について

更新日:2023年07月25日

V-22オスプレイ飛来訓練に関する防衛省からの説明、これに対する立川飛行場周辺自治体連絡会からの要請、国立市における検討について

  • 令和4年11月1日及び2日に防衛省北関東防衛局から立川飛行場周辺8市に対し、首都圏における大規模災害発生時の人員・物資の緊急輸送等への備えなどを目的として、陸上自衛隊V-22オスプレイが令和5年1月以降、立川飛行場へ飛来する旨の説明がありました。
  • 防衛省北関東防衛局からの説明では、陸上自衛隊V-22オスプレイは陸上自衛隊が現在保有している輸送ヘリ(CH-47JA)に比べ、最大速度が2倍、航続距離及び飛行高度が3倍と高い性能を有し、災害救援や急患輸送でも能力を発揮できる。
  • また、同機体は、令和2年7月から、木更津駐屯地に暫定配備され、同駐屯地周辺空域での飛行訓練を行っているが、V-22オスプレイが配備されている輸送航空隊は、大規模災害発生時の人員・物資の緊急輸送などについても任務としており、その任務の遂行に当たっては、様々な飛行場等への飛行や離着陸に関する技能の習得が必要で、暫定配備先のみならず、各地の演習場や駐屯地等を使用した教育訓練の実施が不可欠であり、順次、各地への飛来訓練を開始している。
  • こうしたなか、立川飛行場は、防災関係機関の施設を集約した「広域防災基地」の中核として、災害情報の収集・連絡や救援活動等を行う自衛隊飛行場としての性格を有しており、首都圏において大規模災害が発生した際には、V-22オスプレイにより、人員・物資の緊急輸送等の任務飛行を行うことが考えられることから、離着陸等に習熟しておく必要である旨の説明がありました。
  • 市では、この説明を受けて、大規模災害発生時の人員・物資の輸送、救援活動等については、自衛隊による重要な任務として認識するが、訓練の実施にあたってはくれぐれも市民の安全に配慮した運用を行うよう要請しました。
  • また、これまでの自衛隊ヘリコプター運用による騒音・振動に加えて、オスプレイの飛来による負担の増大が懸念されることから、令和4年11月7日に、立川飛行場周辺自治体連絡会から北関東防衛局に対して、周辺住民の安全・安心、生活環境への十分な配慮等について要請しました。
  • しかしながら、周辺住民の安全性に対する不安解消に至らず、本件に対して多くの意見が寄せられていることから、令和5年1月20日、立川飛行場周辺自治体連絡会から改めて要請を行うとともに、令和5年1月30日付で、国立市単独で北関東防衛局に対し要請を行っております。
  • これまでの要請事項と防衛省北関東防衛局からの回答については、下記リンクを参照してください。

V-22オスプレイの安全性の考え方について

  • V-22オスプレイの安全性について、令和4年12月の市議会答弁及び、防衛省からの説明を踏まえた市の考え方を、以下に掲載いたします。
  • V-22オスプレイは、固定翼機とヘリコプター機の特性を切り替えることが可能で、従来型のヘリコプター機に比べて、速度や航続距離で勝る一方、垂直離発着可能な機体として開発され、米国では16年前の2007年から配備が開始、現在まで、400機以上が生産・運用されています。
  • 防衛省によれば、V-22オスプレイの安全性については、米国政府自身が開発段階で安全性・信頼性を確認していることに加え、国内では、2012年、米軍オスプレイの普天間飛行場への配備に先立ち、防衛省・国土交通省・大学教授など政府内外の航空技術・航空安全や事故調査の専門家、パイロット等からなる分析評価チームを設置し、チーム員を米国に派遣して過去の事故の原因を独自に分析し、機体の安全性を確認しています。
  • また、2014年、陸上自衛隊もオスプレイを導入することを決定しましたが、その検討過程のみならず、導入が決定された後においても、各種技術情報を収集・分析し、安全な機体であることを再確認しています。また、陸自要員が、実際の機体を用いて操縦・整備を行い、V-22オスプレイが安定した操縦・整備が可能であり信頼できる機体であることを改めて確認しています。
  • 防衛省では、V-22オスプレイの機体の安全性は問題ないと評価しており、引き続き、陸自パイロット等の要員の養成や教育訓練にも万全を期していくとのことです。

 

転換モードにおける飛行について

  • オスプレイは、回転翼軸の角度を変更するティルト・ローター方式を採用することで、固定翼機とヘリコプターのそれぞれの長所を活用でき、これは両翼にある構成部品の「ナセル」が傾くことによって可能となります。離着陸時は回転翼モード、離陸後の加速時や着陸前の減速時には転換モード、通常飛行時には固定翼モードで運用されますが、この回転翼軸の角度を変化する際の飛行に対して、懸念する指摘があります。
  • 防衛省によれば、ティルト・ローター機であるオスプレイの特徴でもある転換モードによる飛行は、両翼にある構成部品の「ナセル」が傾くことによって可能となりますが、速度が遅い状態でナセルの角度を下げる(固定翼モードに近づける)と機体が前のめりになることを踏まえ、一定の飛行速度(約70キロメートル)以下ではナセルを一定の角度(75度)以下にできないよう飛行制御システムによりコンピュータ制御されています。
  • また、ナセルを動かす上で必要な部品は、三系統の油圧ユニットで作動するよう設計されており、どれか一系統が機能していればナセルを正常に作動させることが可能となっています。
  • このように回転翼と固定翼の機能を切り替えることができるオスプレイは、通常の航空機より機体構造が複雑ではあるものの、確立された技術を採用すること等により、十分な安全性を確保していると防衛省として評価しています。

 

ハード・クラッチ・エンゲージメントについて

  • 米空軍特殊コマンドは、ハードクラッチの不具合が、2017年以降で計4件、過去6週間で2件発生していることから、2022年8月16日付で、米空軍特殊作戦軍所属のCV-22オスプレイ全機の飛行運用を一時的に停止するよう指示しました。
  • 防衛省によれば、オスプレイのクラッチを原因とする特有の現象(ハード・クラッチ・エンゲージメント:プロペラとそのエンジンをつなぐクラッチが離れ、再結合する際に衝撃が発生する現象)については、米空軍は、CV-22オスプレイに求められる運用を考慮し、慎重の上にも慎重を期する観点から、独自の判断として、地上待機措置をとったものです。
  • その後、米空軍特殊作戦コマンドにおいて、各種情報を分析の上、様々な任務におけるCV-22オスプレイの運用手順の確認、搭乗員に対する教育・訓練内容の追加、機体点検などを継続的に行うことにより、CV-22オスプレイの飛行の安全が確保できることを確認したことから、地上待機命令を解除しています。
  • 一方、陸上自衛隊V-22オスプレイにおいては、クラッチを原因とする特有の現象が起きたことはないところですが、万が一、この現象が発生したとしても、安全に運用できる操作手順は米軍により既に確立されており、これまで陸上自衛隊では、操縦士に対して陸自オスプレイを安全に運用するための操作手順を含めた教育・訓練を積み重ねてきているとのことです。

 

事故率について

  • 防衛省によれば、事故率については、整備ミスや操作ミス等の機体以外の要因で発生する事故もあることから、事故率のみをもって機体の安全性を評価することは適当ではなく、あくまで目安の一つと考えているとのことです。
  • こうした前提を踏まえて、2022年9月末時点の米海兵隊のMV-22オスプレイの10万飛行時間あたりのクラスA事故率は2.27となっています。(クラスA事故とは政府や他の財産への被害総額が250万ドル以上、国防省所属航空機の損壊、又は、死亡もしくは全身不随に至る傷害もしくは職業病を引き起こした事故を指します。)

 

滑走路の長さについて

  • V-22オスプレイには1,500mの滑走路が必要との指摘がある一方で、立川飛行場の滑走路は900mであり、オーバーランを合わせても1,200mとなっています。このため、立川飛行場における離発着の安全性についての指摘がありますが、防衛省によれば、オスプレイの離着陸に必要な滑走路の長さは、気象状況や機体重量等に応じて変動し、オスプレイの配備先についてはあらゆる状況下でオスプレイを安全に運用するために1,500mの滑走路が必要となりますが、立川飛行場への飛来訓練では、現在の滑走路の長さで十分安全を確保できる状態でのみ運用するとのことです。

 

高度と場周経路について

  • 場周経路訓練時の飛行高度については、原則として滑走路の東側の場周経路を高度約1800フィート(約540m)の高度で飛行します。これは、航空法第81条の最低安全高度(航空機を中心に半径600m以内で障害物の一番高いところから約300mの距離を確保)を確保した数値となっています。
  • 防衛省によれば、場周経路については、北向きに離陸する場合では、離陸後、北側の西武拝島線を交点として、東大和駅付近まで東へ向かい、そこから多摩川方向へ南下後、多摩川沿いを西へ飛行し、滑走路へ戻る経路となります。
  • この場周経路については、立川飛行場を使用する海上保安庁、警察庁及び東京消防庁の航空機も同様に使用しています。

 

オスプレイ運用に対するご意見等について

  • 国立市では、V-22オスプレイがこうした安全性への考え方や取り組みなどに基づいて、運用されていると認識しています。また、安全性が十分に確保されている前提のなか、立川飛行場への飛来訓練が実施され、その目的は、大規模災害発生時の備えとして、必要な訓練であると考えています。
  • 一方で、V-22オスプレイの飛来訓練に対して、安全性の不安を感じる、また、騒音等の生活環境への不安を感じるなど、周辺住民の皆様から本件に関して意見が寄せられております。
  • 市では、安全に配慮した運用、周辺住民への騒音対策配慮などを要請し、防衛省から提供された情報については、逐次、お伝えしていきたいと考えています。
  • また、オスプレイ運用に関連してのご質問、ご意見等については、防衛省に伝えてまいりますので、国立市環境政策課(電話042-576-2111 内線135・136)まで、ご連絡ください。いただきましたご質問、ご意見については、丁寧に防衛省に伝えてまいります。

この記事に関するお問い合わせ先

生活環境部 環境政策課 環境政策係



住所:186-8501 国立市富士見台2-47-1 国立市役所 1階(16番窓口)
市役所のご案内
電話:042-576-2111(内線:135、136)
ファクス:042-576-0264
お問い合わせフォーム

みなさまのご意見をお聞かせください
このページの内容は分かりやすかったですか
このページは見つけやすかったですか
このページの内容は役に立ちましたか