国立市の文化財保護の考え方としくみ
1.文化財保護法基本理念 について
- 指定制度による文化財保護
- 保護対象・保護体系の整備
- 管理・公開・現状変更等に関する規定
- 地方公共団体の役割規定
国の文化財以外の文化財で、当該地方公共団体区域内に存するもののうち、重要なものを指定して、その保存及び、活用のための必要な措置を講じることができる(文化財保護法第98条第2項)
2.指定文化財制度とは
法律や条令で定義された文化財は、行政によってそのすべてが保護されるわけではなく、保護の対象となるには指定を受けなければなりません。このため学術や芸術等の観点から 特に価値の高いと 認められる必要があります。このように、優品主義・重点指定主義的な理念に基づき、広義の文化財全体のうち、ごく少数のものを指定し、 重点的に保護 していくのが指定文化財制度の特徴です。
3.指定文化財制度の短所
前述のように、指定文化財制度による文化財保護は、対象となる範囲が狭く、更にはその価値基準が学術や芸術的な側面に偏るきらいがあります。しかし、こうした観点から漏れるものであっても、郷土の歴史を語る上で重要な文化財は多くあります。そうした文化財は、保護の対象となりにくい状況でした。
また、指定を受けたあとは文化財としての公共的な性格から、たとえそれが個人の所有物であっても様々な公的制約が生じます。このため、所有者の同意を得て財産権との調整を図っていますが、所有者と行政の利害の一致が見られないため同意が得られず、文化財の保護が行えないこともあります。
4.登録文化財制度とは
指定文化財制度の短所を補完するものとして、文化財登録制度を導入しました。この制度は条例で定義された文化財のうち、市にとって、ある一定の価値があり保護の必要なものを対象とし、広範囲な文化財の保護を目指すものです。すなわち、指定の範囲外に存在する、郷土の歴史資料や民俗資料など地域史を捉える上で重要な多くの文化財に眼を向けるものです。このため、指定文化財制度のような所有者に対する多くの規制を除外し、保護を行う強制力は非常に弱いものとなっています。
導入の目的
- 行政区内の文化財を広く把握する
- 広範囲な文化財に対する保護
- 優品主義的な文化財認識から、価値観をより広く捉えた文化財保護に対する意識高揚
以上3点は、すべて指定文化財制度の支援的措置となるものです。
5.指定文化財制度と登録文化財制度
指定文化財制度と登録文化財制度の関係は、下図のとおりです。
6.指定文化財制度と登録文化財制度の違い
指定文化財制度と登録文化財制度は、下図のように大きく5つの点で異なっています。
内容 | 指定文化財制度 | 登録文化財制度 | |
---|---|---|---|
1 | 文化財指定・登録の解除 | 所有者側から解除はできない | 所有者側から解除できる |
2 | 文化財の現状変更 | 教育委員会の許可が必要 | 事後の申告(現状変更により価値が失われた場合登録解除) |
3 | 文化財の公開や保存について | 教育委員会の勧告があれば所有者がこれに従う必要がある | 規定なし |
4 | 罰則規定の有無 | 規定なし | 規定なし |
5 | 保護・保存上の修理に対する補助・助成 | 予算の範囲内で補助 | なし |
7.指定されるまで
市指定文化財が指定されるまでの仕組みは以下の図のとおりです。
8.指定されたら
指定文化財は市の文化財にとって重要な文化遺産であることから、以下のような保存・活用に関する規定があります。
9.登録されるまで
市登録文化財が登録されるまでのしくみは、以下の図のとおりとなります。登録文化財の候補について、教育委員会等により調査を行い、その調査結果を、文化財保護審議会に諮問します。ここで審議され、登録文化財として適当と認められたものが、答申され、教育委員会が決定し、告示することによって効力が生じます。また、登録文化財がその価値を失った場合は、登録が解除されることがあります。
10.登録されたら
登録された文化財の所有者・保持者・保持団体・市民に対して、市や教育委員会は以下の図のようなことができます。
この記事に関するお問い合わせ先
教育委員会 教育部 生涯学習課 社会教育・文化芸術係
住所:186-8501 国立市富士見台2-47-1 国立市役所 3階(45番窓口)
市役所のご案内
電話:042-576-2111(内線:323)
ファクス:042-576-3277
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更新日:2023年06月30日